こんにちは。布施淳です。
超認知症患者社会
日本は、超高齢化社会への道を突き進んでいます。
単に高齢化する、高齢者が増える、というのも問題ですが、同様に、いやそれ以上に深刻なのは、
「認知症患者が増える」
ということじゃないでしょうか。
東京オリンピックのある2020年には、日本の認知症患者は600万人を超える見込みです。
長寿よりも優先度の高い認知症回避?
患者との会話でよくあるのは、、、
「長生きしたいけれど、認知症にはなりたくない!」
「長生きはしなくてもいいけど、認知症にはなりたくない!」
そうです。
「命」よりも「認知の維持」を重要視している人が多いように感じます。
認知症発症の危険因子は?
最近、Lancetという有名医学雑誌から、認知症の予防に関する論文が掲載されました。
Dementia prevention, intervention, and care
http://dx.doi.org/10.1016/S0140-6736(17)31363-6
残念ながら、認知症になる65%の要素は我々にはどうすることもできません。
しかし、残りの35%は、予防・修正可能なのです。この図をご覧ください。
生まれてから、生涯の流れにおいて、世代別に認知症発症に寄与するとされる要素とその影響の程度を図示したものです。
(http://www.thelancet.com/infographics/dementia2017)
(7% アポリポ蛋白 E (ApoE) の対立遺伝子 ε4 (アルツハイマー病(AD)の危険因子))
遺伝子はさておき、その他の要素をその影響度(%)を書き出すと、、
・8% 中等教育の欠如
・9% 難聴
・2% 高血圧
・1% 肥満
・5% 喫煙
・4% うつ病
・3% 身体活動不足(運動不足)
・2% 社会的孤立
・1% 糖尿病
=合計35%
ということで、
・経済格差、貧困家庭も社会問題になってきています。なんらかの理由で、15歳くらいまでの中等教育を受けていない子供がいるならば、受けさせてあげましょう。
・高血圧、糖尿病の方は、医療機関を受診し対策を講じましょう。
・肥満の方は、減量しましょう。
・身体活動促進しましょう。高血圧、糖尿病、肥満の方は尚更です!
・難聴の方は、医療機関を受診し、対策を講じましょう。難聴は9%と関与が大きいですし、意外と盲点です。
・喫煙者は、禁煙しましょう。
・社会的に孤立している人は、積極的に周囲とコミュニケーションをとりましょう。周囲に、孤立している方がいるようでしたら、仲間に入れてあげましょう。
・うつ傾向の人は、医療機関を受診しましょう。周囲にうつ傾向の人がいらっしゃったら、会社の産業医に相談したり、受診を促しましょう。
「認知症予防」のためなら!
多くの患者と接していて感じることは、暴飲暴食、運動不足といった生活習慣の乱れ、喫煙、などといった習慣を是正することは容易ではないことです。こちらが、「身体のために、、、」「自分のために、、、」とか言いつつ是正を促しても、あまり効果的ではありません。
しかし、「認知症予防」のためなら、禁煙やその他生活習慣是正への取り組みへの姿勢が変わるのではないでしょうか?
この35%の各々の数値を具体的に掲げたり、この図を提示して、患者教育に活用できます。
そういえば、以前にも同じような記事書いてました笑。