こんにちは。布施淳です。

 

最近、おしゃれな電子タバコが人気のようです。禁煙原理主義の自分としては気になるところです笑。患者からも時々、「電子タバコって、やっぱり悪いんですか?」とか聞かれることもしばしば。電子タバコは、身体にどのくらい悪いのでしょうか?悪くないのでしょうか?

 

ということで、目に付いた論文。ごくごく簡単にご紹介。

 

Nicotine, Carcinogen, and Toxin Exposure in Long-Term E-Cigarette and NicotineReplacement Therapy Users: A Cross-sectional Study

Ann Intern Med. 2017;166(6):390-400.

 

英国の成人200人弱を対象とした研究です。

 

① 普通のタバコのみの喫煙者

② 電子タバコ+普通のタバコの併用

③ ニコチン置換療法(パッチやガム)+普通のタバコの併用

④ (禁煙後)電子タバコのみ

⑤ (禁煙後)ニコチン置換療法(パッチやガム)のみ

 

上記5群の対象者たちの、尿中、唾液中のニコチン、有害物質(タバコ特異的ニトロサミン(TSNAs)、揮発性有機化合物(VOCs))の量を測定しました。

 

結果は、

 

摂取ニコチン量は、5群で概ね差がありませんでした。むしろ、①より②〜⑤の方が多い傾向がある感じ。

TSNAsとVOCsの量は、①〜③は差がなく、④⑤は①〜③より少量でした。④と⑤は差がありませんでした。

禁煙しようとしても、②や③の状態だと、身体の安全性に関してはリスクが軽減しません。

 

 

結局この研究から示唆されることは、

 

・摂取ニコチン量は、普通の喫煙も、電子タバコも、パッチ、ガムも変わらない。

・その他の有害物質が少ないことから、電子タバコのみ、パッチやガムのみ、は喫煙よりも安全である。喫煙→禁煙のプロセスにおいて活用する選択肢はある。

・ただし、喫煙しながらの併用はダメで、完全禁煙が強く推奨される。

・また、電子タバコや、パッチやガムもニコチン摂取に加え、相対的に少ないながらも有害物質の摂取にもつながるため、これらも完全に止めることが身体的健康においては推奨される。

 

 

要は、

 

「電子タバコは普通のタバコよりはマシだけど、やめた方が良い」

 

 

病気罹患や死亡などのアウトカムを使用したり、長期間の追跡、RCT(ランダム化比較試験)など、さらなる研究が望まれます。

 

あと、この研究では副流煙に関しては評価していませんので電子タバコの副流煙(副流蒸気?)が周囲へ及ぼす害についても考えなければいけませんよね。その害の有無や程度の評価が下るまでは、人前での電子タバコ使用は推奨されないと思います。