おはようございます。布施淳です。
さて、何かと言動が注目されている堀江貴文氏の本。
この本では、インターネット、そしてグローバル化により世の中は激変し、「仕事」というもののパラダイムシフトが生じていると訴えています。与えられた仕事をこなす、定まったレールを歩き「引き受ける」仕事をする、、、このようなこれまでの仕事の「成功モデル」は崩れ去りつつあります。レールから外れ、「仕事を作る人」になる必要性を説いています。そして、そんな「仕事を作る人」となり世の中をリードしている「イノベーター」を8人紹介しています。
8人の各々の方々はそれぞれに、凡人には真似できないようなインパクトのある生き方をしています。見習うべき点は多々あります。堀江氏も含め、こんな人たちがつるんだら、核融合を起こして、もの凄いパワーを発揮しそうです。堀江ネットワーク、さすがです。
その中でなぜか印象に残ったロンドンブーツの田村淳氏の言葉。
「僕自身はルールの真ん中を行くより、ルールのキワッキワを、歩いていきたい。 逸脱しかけたギリギリのところに、ドキドキするような面白いものが転がってるんですよ。」(引用)
例えば、民放のテレビ局ではコンプライアンスが厳しく、多くの規制を強いられる中、笑いを取るのは大変だそうです。そのような規制のギリギリのところを攻めて、チャレンジングな笑いを展開するのが「プロ」なのでしょう。
ルールは原則的に守らなければいけませんが、ただ鵜呑みにする前に、本当にそのルールは適正なのだろうか?という疑問を持つことは大事です。適正なルールであればそれに従うわけですが、ただ単に遵守するのではなく、許される範囲内で、何ができるだろうか?と考える習慣を持つと、ルールに縛られながらもワクワク感を感じることができるかもしれません。
ちょっと話は違うかもしれませんが、医療の現場での一つのルール的存在のものに「ガイドライン」があります。例えば、「高血圧」や「急性心筋梗塞」といった病気の「ガイドライン」がそれぞれ学会により作成されており、現場の医師たちは、原則的にそのガイドラインに沿った治療を患者に提供するわけです。標準化された医療、根拠のある医療が、どの病院でも受けられるわけです。もちろん、「法律」などのような正式なルールではありませんから、絶対遵守!というわけではありませんが、原則守ります。
そんな「ガイドライン」通りの医療を施す医師が正しくて、質が高い、プロフェッショナルである、と考えられがちです。しかし、本当にそうでしょうか?医師が「ガイドライン」を守ることは、容易です。なぜなら、機械的に、マニュアル通りやれば良いからです。「ポテトはいかがですか?」とマニュアル通りのバーガーショップのカウンターのバイト店員と同じです。極端な話、医療は、医師でなくとも出来る業務になってしまいます。
患者は各々、様々な並存疾患、社会背景、価値観を持っていたりします。医師は、「ガイドライン」を軸として、なおかつ、その患者の個性を考慮しつつ、最善の治療をプロデュースする業務なのです。「ガイドライン」という軸から逸脱しすぎないように、患者のニーズに応える。その落としどころを巧く調整するのです。時には、「ガイドライン」から逸脱してしまうこともあるでしょう。それが医師と患者の対話の中で互いに十分理解しているのであれば、良いのです。逸脱=悪とか、逸脱=誤り ではありません。但し、医師の思い込み、偏見や無知により「ガイドライン」を逸脱した医療を患者に提供してしまう、なおかつ、それを患者が理解していない、という構図は、悪とか誤り、の範疇に入ってきます。これ、意外と一部の医療現場ではまかり通っていたりします。
ルールの真ん中を行くことは、どんな医師でも可能です。ルールのキワッキワ、 逸脱しかけたギリギリのところで、絶妙に患者のニーズに応える。これが、プロフェッショナルの医師であり、腕の見せ所、ドキドキするがやり甲斐のある仕事、なのだと思います。