こんにちは。布施淳です。

有料老人ホームの入居者に対する、介護職員の暴言や暴力が話題になっています。

転落事件の件もあり、マスコミがタイムリーに話題を取り上げているのでしょう。

 

都内には裕福な老人が入居する、有料高級老人ホームがあります。エレガントな外観、優れた設備、サービス。お値段もかなり高額のようです。

ネットで検索すると、例えばこんな感じのサイトもあります。

http://kaigo.homes.co.jp/theme/premium/

 

先日、そのような老人ホームに入居している上品なご老人とお話しする機会がありました。90歳前後ですが、頭も身体もしっかりしていて、趣味も多彩な方です。その方が入居している老人ホームの同じ区画には約60人が入居しているらしいのですが、そのうちちゃんとした会話ができる方が3人しかいないそうです。大多数は、認知症等がひどく、会話にならないそうです。そればかりか、特に男性は暴言を吐いたりするような方もいて、接していると悲しくなってしまうこともある、、、と言っていました。

 

そのような高級有料老人ホームに入居する際は、心身の衰えがひどくなくとも、入居後ももちろん年を取っていきますから、どんどん衰えて、認知症も発症してくる、とのことです。そしてついには、入居者みな認知症、、、という感じなのでしょうか。。。。

考えてみれば当たり前のことなのですが、一見優雅そうに思える高級老人ホームも、そのような状況なのかと、少々驚きました。

「極上のシニアライフ」なんていうコピーも見かけますが、現実はなかなか厳しいのですね。

 

病院にも高齢者の入院患者は星の数ほどいます。認知症等で、看護師に暴言や暴力を振るうような方も稀ならずいらっしゃいます。医師にもそのような振る舞いをする方もいますが、やっぱり看護師のほうが犠牲になる機会は多いです。多忙な業務の中、そしてその患者のことを思って世話をしている中、暴言や暴力を振るわれると、仕事のモチベーションは下がるし、時にはカッとくることもあるでしょう。でも多くの看護師は、日々耐えています。

 

最近、マスコミが報道しているような介護職員による入居老人に対する暴言や、暴力。人材不足で多忙な中、そして夜間勤務もあったりストレスが多い職場環境。そんな中での認知症の方の世話が、いかに大変なことか。しかも給料的にも決して恵まれている職業ではありません。

 

どんな理由であれ、暴言暴力は決して許される行為ではありません。しかし、必ずそこに至ってしまうプロセスがあるはずです。

マスコミには、介護職員を責めるような報道でなく、そうなった背景・原因を探り、その対策を提案するような姿勢を見せて欲しいと思います。

 

超高齢化社会に拍車がかかる日本は、介護施設や病院ばかりでなく、家庭をはじめ、至る所で、このような問題が顕性化してくるのかもしれません。