おはようございます。布施淳です。
選挙権の年齢引き下げとともに、アルコール・たばこの解禁年齢も18歳まで引き下げようという案が出ています。健康に害が及び、なおかつ若年での曝露でそのリスクが高まるというデータもありますので、医学的な見地からすると大反対です。医学的な視点での議論などするに及びません。
以下は、喫煙に関してのお話です。
喫煙解禁年齢を18歳まで引き下げるメリットとはなんでしょうか。たばこを「嗜好品」と解釈すれば、”一人前”となった18歳にもその嗜好を享受する機会・権利を与えましょうということになります。しかし、医学的見地からは、たばこはもはや「嗜好品」ではありません。好きだから味わう、という範疇のものではありません。本人には当然、周囲の人にまで身体的悪影響を与える「有害物」です。医師のカルテ記載においても、喫煙は「嗜好品」として表現される機会は減り、疾患の1つとして挙げられるようになっています。
他にメリットはあるのかと考えると、あまり思いつきません。
なぜ、喫煙解禁年齢を引き下げることを考えているのでしょうか。世界的には18歳で解禁になっている国が多いようですから、横並びが好きな日本人的思考でしょうか?
そんなことではなく、真っ先に思いつくのは「たばこ利権」でしょう。
喫煙できる年齢層が増えれば、それだけ喫煙者が増加します。それだけ、たばこ生産量が増え、税収が増え、様々な金銭的メリットを享受する人々がいるわけです。
20歳解禁から18歳解禁になれば、18歳、19歳の人たちが新たに喫煙できるようになります。現在この世代の人たちは概ね各々120万人、計240万人ほどいます。
http://www.stat.go.jp/data/jinsui/2014np/pdf/gaiyou2.pdf
そして20歳代の喫煙率は、男性36%、女性12%ほどです。
http://www.health-net.or.jp/tobacco/product/pd100000.html
喫煙率をごく単純に平均24%とすると、240万人の24%ですから、約58万人の喫煙者増加につながるわけです。
たばこ利権については、下記の本に大変よく書かれています。
JT、財務省、たばこ利権 ~日本最後の巨大利権の闇
・予算編成や税制の権力を握りつつたばこ行政を管轄する財務省。
・財務省の管理下での国策会社としてたばこの生産・製造・販売の独占するJT。
・葉たばこ全量買い上げの優遇の恩恵を受ける葉たばこ農家。
・規制に守られ、自販機でも大きな収益をあげているたばこ小売店。
・これらの利権の構図を維持する族議員。
たばこの資金の流れを巡り、これらの人々が強く結びついています。
これが、たばこ利権構造です。
このような利権・既得権益の維持のために、国民の健康が犠牲にされているわけです。世の中「金」です。
日本人の喫煙率は徐々に低下してきており、平成25年では男性32.2%、女性8.2%ほどです。平成元年は男性55.3%、女性9.4%でした。たばこの販売本数も、平成9年は約3280億本でしたが、平成24年は1951億本に減りました。
解禁年齢を18歳まで引き下げることで、少しでも収益減少に歯止めをかけ、たばこ利権の維持を図りたいのでしょう。
喫煙に関し、世界的に日本が如何に非常識なのか、なぜたばこ規制が進まないのか、なぜ喫煙外食店が多いのか、なぜ全面禁煙ではなく分煙という中途半端な規制にとどまるのか、なぜメディアは喫煙の害についてあまり語らないのか、、、、、、
上記の本を一読すれば、これらのことも理解できるかと思います。