こんにちは。布施淳です。

以前、こんな記事を書きました。

 

年長の医師と若手医師はどちらが優秀か?

 

取り上げた論文は、以下といった結論でした。

 

「年長の医師は、経験の少ない若手医師よりも、知識も診断・治療能力も劣る」

「患者にとって、年長の医師にかかることは、質の低いケアを被る”リスク”である」

 

さて、最近ネットで話題になっている論文。65歳の高齢患者に対して、若い内科医と年配の内科医、どちらが成績が良いのか?という趣旨の論文です。

Physician age and outcomes in elderly patients in hospital in the US: observational study

BMJ 2017; 357 doi: https://doi.org/10.1136/bmj.j1797 (Published 16 May 2017)Cite this as: BMJ 2017;357:j1797

 

そして著者の津川先生のブログ。

若い医師の方が担当患者の死亡率が低いことが最新の研究で明らかに

 

津川先生って、様々な論文を執筆し世界にインパクトを与えています。すごい方です。今後の日本の医療政策を担っていく存在になるのでしょう。

 

さて、この最近の論文でも、やっぱり若い医師の方が、年配の医師よりも患者の予後が良かったという結果が出ています。確かに、年配医師の一部は、向上心が衰えていて最新の治療ガイドライン等、知識のアップデートを怠っていたり、古き知識で視野狭窄的な診療をしてしまったり、ということがあります。若い医師の方が情報リテラシーが高く、情報収集が上手です。

 

しかし、このような結論を見て、ふと思うこともあります。高齢患者の診療において、「死亡率が低い」ことが絶対的に良いことなのでしょうか。

 

良い悪いは別として、重症高齢患者を、機械だらけ、管だらけにして、あるいは侵襲的治療を積極的に選択し、少しでも命をながらえる方策をとるのは、年配の医師より若い医師が多いと、日々の医療現場では感じています。

 

患者の年齢と、病状と、価値観を勘案し、最後の幕引きを演出するのは、医師の仕事の1つです。おこがましいかもしれませんし、反論もあろうかと思いますが、医師は患者の「エンディングプロデューサー」と、僕は思っています。

 

少し早い幕引きでも、この患者、家族にはhappyなこと、、、という場面も、現実的にはありえます。ベテラン医師は、そのような絶妙な判断を下している可能性もあるかも、、と思ったりします。結果、若い医師よりも、ちょいと死亡率が高くなったりして。

 

若い医師と、年配の医師の、患者死亡率のみならず、患者とその家族の満足度も測定してみたいです。高齢患者のアウトカムとして「死亡率」とか「生存率」に、絶対的価値を見出しづらくなっている今日この頃です。