おはようございます(ハイタッチ笑!)。布施淳です。

 

以前、「たこつぼ型心筋症」について触れました。急性心筋梗塞によく似た病気で、一過性に心臓の一部が動かなくなってしまう病気です。心臓が「蛸壺」のような形態を呈するため、このような病名がついています。通常入院を要し、稀に命を落とすこともあります。ストレスが誘因となる場合が多く、「ストレス起因性心筋症」と言われることもあります。

 

ストレスの恐ろしさ たこつぼ心筋症

 

Tako2

 

Tako3

 

さて、この「たこつぼ型心筋症」、通常、誘因となるストレスは「ネガティブ」なことが多いです。例えば、子供や親・配偶者の死、友人の死、事故、恐怖、失望、怒り、病気、、、、などなど。しかしながら、「ポジティブ」な状況でも発症してしまうことがあるとのことです!「European Heart Journal」という循環器としては有名な医学雑誌の論文です。「たこつぼ型心筋症」の登録データベースに基づいた研究です。

 

Happy heart syndrome: role of positive emotional stress in takotsubo syndrome」(European Heart Journal doi:10.1093/eurheartj/ehv757 )

 

ハッピーなこと=ポジティブな感情が起こると、興奮して、アドレナリンが出まくったり、血圧が上がったり、心拍数が上がったり、心臓や血管に影響を与えます。これが「たこつぼ型心筋症」発症に関与するのかもしれません。この論文のデータベースでは1750例のたこつぼ型心筋症が登録されていますが、このうち明らかな感情的ストレスが誘因になった例が485例です。うち465例が、ネガティブな感情ストレスが誘因になっており、20例が、ポジティブな感情ストレスが誘因になっています。4.1%がポジティブ感情です。ポジティブな感情の場合を「Happy heart syndrome」、ネガティブな感情の場合を「Broken heart syndrome」というような表現を使っています。

 

具体的には、どんなポジティブ感情、ハッピーなことが誘因になったかというと、こんな感じです。

 

Happy Heart Events

 

誕生日パーティー、結婚式、同窓会50周年、結婚記念日、孫が生まれた、サプライズの歓迎会、贔屓のラグビーチームが勝った、ドライバーが勝った、カジノで勝った、病院で検査が正常だった、オペラ鑑賞、予想外の大好きな甥や孫の訪問、、、、。

 

これまでも、誕生日や、結婚式など、ハッピーな日には心臓や血管の病気になることがやや多いと言うことを指摘した論文はあったようです。

 

ハッピーなことは良いことですし、それを周りが祝ってあげたりすることも良いことです。しかし、稀ではありますが、度が過ぎると、「たこつぼ型心筋症」を発症してしまうことがあり得るということを、循環器医としては頭の片隅に入れておきます笑。サプライズ企画もほどほどにしておいた方が良いのかもしれません。祝賀会やパーティーの場、ドラマティックなスポーツゲームの会場などで体調不良を訴えている人がいないか、目を光らせておこうと思います笑。病院で検査結果が正常だった時にも発症している方がいます。伝え方も工夫する必要があるのかもしれません。