おはようございます(ハイタッチ笑!)。布施淳です。

先日の記事。

「病気がない状態」が「健康 」か?

 

この記事で使用したこの図、大好きです笑。

 

Slide1

(http://www.creatingpositivehealth.com/positive-health/)

 

通常、医師は「病気を治すこと」が仕事の本質です。「病気を有している人」すなわち、上図の「Unhealthy」の人を診療、治療することで「軽快」あるいは「治癒」させます。その状態が、上図の「Absence of illness」です。

例えば、高血圧の患者。血圧が高い状態で病院に来院します。上図「Unhealthy/Disease」の状態です。生活指導による生活習慣是正や降圧剤を処方することで、上図の「Absence of illness」に上がります。降圧剤という薬を飲みながら、なんとか「Absence of illness」のラインを維持、推移するのです。定期受診する患者に対し、医師は、「血圧は正常範囲内ですね!順調です!また来月!」てなことを言います。「Absence of illness」のラインがゴールなのです。

 

なぜ、高血圧の治療をするのでしょうか?

高血圧が長期間続くと、脳卒中や心筋梗塞、心不全、大動脈解離や腎不全など様々な病気が続発しやすいのです。それらの命に関わるような病気の発症を予防するために、高血圧の治療をするのです。予防的な治療という切り口で高血圧の治療のことを表現する場合、「一次予防」と言います。脳卒中などの「Disease/Unhealthy」に落ちないために、高血圧治療を施し、「Absence of illness」のラインを維持しようとするわけです。

 

例えば、心筋梗塞の患者。1ヶ月前に急性心筋梗塞に罹患して入院加療。手術や薬物治療で順調に回復し退院。心筋梗塞という「Disease/Unhealthy」を治療し、薬を飲みながらもなんとか「Absence of illness」のラインに上がった状態です。その後は、再発予防のために、抗血小板薬(いわゆる血液サラサラの薬)やコレステロール薬、心臓保護薬などを内服しつつ外来通院します。「Absence of illness」のラインから、再び「Disease/Unhealthy」に低下しないように、上記薬を内服したり、生活習慣を改めたりするのです。この心筋梗塞再発予防のための薬や治療を「二次予防」と言います。

 

外来では診察しつつ、採血や心電図をチェックします。「血圧は正常範囲ですね。採血でも、血糖やコレステロールの値は正常範囲内です。胸痛もないようですし、順調です!また来月!」てな感じです。「Absence of illness」のラインが維持できていれば、医師は満足です。

 

一次予防にせよ、二次予防にせよ、「Disease/Unhealthy」に陥らないための「予防医療」です。「病気」あっての「予防」です。「Absence of illness」のライン維持が合格ラインです。

 

 

高齢化社会で、多様な病気を複数抱えている患者が多いです。加齢に伴った衰えによる病気は治らないものが多いです。付き合って生きていかねばなりません。悪性腫瘍(癌)など、完治が難しい病気を抱えている患者も勿論います。そのような患者たちは、「Absence of illness」にさえ届きません。「Disease/Unhealthy」の範疇を上下して過ごしていくのです。医師を始めとする医療従事者らはそのサポートをします。「Disease/Unhealthy」の状態であっても少しでもQOLを改善させてあげて、「Absence of illness」に近い位置での生活に近づけてあげるのです。

 

多くの医師にとって、「Absence of illness」がゴールです。まさに上図の「Goal of  most healthcare」です。それ以上のことはあまり追求しません。追求する気がない医師が多いでしょうし、仮に追求したくとも、多忙な医師の業務の中ではそんな余裕はなく、最低限の「Absence of illness」ラインをクリアすることで精一杯とも言えるでしょう。

 

医師にとって「Absence of illness」ラインより上の「Optimal health」、「Goal of Positive Health」に関わる機会は少ないのです。医師は「健康の専門家」と言われることが多いですが、そうではないことが、この図を見るとよくわかります。医師は「病気の専門家」であって、「健康の専門家」ではありません。辞書などで「健康」という言葉を改めて調べて、さらに納得します。

 

 

スーパー大辞林

けんこう【健康】(名形動)

 体や心がすこやかで,悪いところのないこと(さま)。医学では単に病気や虚弱でないというだけでなく,肉体的精神的社会的に調和のとれた良い状態にあることをいう。「―な子供」

 異常があるかないかという点からみた,体の状態。「―を害する」「―に気をつける」〔明治期に health の訳語としてつくられた語〕

 

Wikipedia

健康の概念は、1948年の設立における世界保健機関憲章の前文にある、以下の定義が有名である。

身体的・精神的・社会的に完全に良好な状態であり、たんに病気あるいは虚弱でないことではない。1951年(昭和26年)官報掲載の日本語訳は、完全な肉体的、精神的及び社会的福祉の状態であり、単に疾病又は病弱の存在しないことではない。原文はHealth is a state of complete physical, mental and social well-being and not merely the absence of disease or infirmity. [3]

この定義は、健康に関連する権利が不可分かつ相互依存であることを示している[4][5][6]

世界保健機関は1999年の総会で健康の定義として以下の定義を提案[7]しているが、審議には至っていない[8]強調は1948年との変更箇所(原文に強調はない)。

健康とは身体的・精神的・霊的・社会的に完全に良好な動的状態であり、たんに病気あるいは虚弱でないことではない。原文はHealth is a dynamic state of complete physical, mental, spiritual and social well-being and not merely the absence of disease or infirmity.[9]