おはようございます。布施淳です。

自宅から割と近い「武蔵小杉」という街があります。最近、開発が著しく高層マンションが次々建築され、その広告が新聞に折り込まれて我が家にも配達されます。見るだけです。とても買えません笑。また、湾岸エリアも高層マンションが多数建っています。眺めは良く、快適な生活を送れます、たぶん。羨ましい限りです笑。

 

Tower Manshon

 

一方で、そんな高層タワーマンションで火事や火災が生じた際のことを想像すると少々心配になったりします。あるいは、急な病気になり救急車を要請した時に、救急隊が40階とかまで上がってくるまでに時間がかかりますし、搬出するのにも時間がかかります。停電などでエレベーターが停止してしまった場合には更に困難を極めます。突然の心停止になった場合は、救急隊やAEDが傷病者の元に1分でも1秒でも早く達することが重要です。心臓が原因の心停止(心室細動)の場合は、1分対応が遅れるごとに7-10%生存率が低下することが知られています。

 

そんな中、とあるメーリングリストに紹介されていた、こんな論文。興味深いです!

Tower Manshon 論文

 

Out-of-hospital cardiac arrest in high-rise buildings: delays to patient care and effect on survival

 

カナダからの後ろ向き観察研究です。自宅で心停止に陥った場合の生存率を調べています。1階あるいは2階在住の人5998人と、3階以上在住の人1844人を比較しています。結論としては、

 

・1階あるいは2階の住人が心停止に陥った際の生存率:4.2%

・3階以上の住人が心停止に陥った際の生存率:2.6%

 

もう少し細かなデータを見てみると、

 

・16階以上の住人が心停止に陥った際の生存率:0.9%(2/216)

・25階以上の住人が心停止に陥った際の生存率:0%(0/30)

 

高層階に在住しているほど、突然の心停止時の救命率が低くなっています。特に25階以上になりますと、絶望的データです。もちろん、これは観察研究ですから、あくまで相関関係です。因果関係ではありません。とは言っても、このような関係があることを、タワーマンションへの転居を検討している人は、頭の片隅においておくことが必要でしょう。何をするにも、特有のリスクが伴います。先日取り上げた、深夜高速バスのスキーツアーや、スノーボードそのもの、生牡蠣を食べる、にもリスクが伴います。そのわずかなリスクを考慮しても、自分なりに得られるベネフィットを優先するわけです(参考:「リスク」と「ベネフィット」のバランスと「責任」)。

「自宅で心停止に陥った時に、救命される確率が低いかもしれない、でもそんなことは稀だし、40階の眺望を前に生活するメリットの方がはるかに大きい、、、」そう考える人はそれで良いと思います。

何らかの心臓病を持っていて、不整脈が出るなど、突然の心停止になる確率が高めの方で、なおかつ、長生きしたいという希望があるのであれば、1階や2階の低層階に在住することをお勧めします。