おはようございます。布施淳です。

病院には様々な業種の医療従事者の方がいます。医師、看護師、放射線技師、臨床検査技師、臨床工学士、理学療法士、薬剤師、、、、、、。すべての業種間に上下関係はなく、基本的にはフラットな関係のはずです。各々の職種がその担当分野のプロフェッショナルです。医師が知らない多くのことを、そのプロフェッショナルたちは精通しています。

しかし、一方で、医師が最も給料が高いし、医療の中心的役割を担っているという視点もあります。その視点が行き過ぎて、医療界を「一番偉い医師を頂点としたピラミッド図形」として捉えている人も少なくありません。例えば医師と看護師を比べた場合、「医師が上で看護師が下」ということです。旧態依然な面も多々ある医療業界です。医師自身も、そして看護師自身さえも、そのように考えている人がまだまだいます。

 

近頃、医師以外の医療従事者の優秀な人と交流する機会が多いです。知識も豊富で、スキルも高く、勉強熱心です。そんな彼ら、彼女らを見て、思うことがあります。例えば、看護師と医師。同じように優秀なのに、一方は看護師になり、一方は医師になった、、、なぜでしょう。

 

学校の成績が良かったから医師になった?偏差値が足りなかったから看護師になった?どうしても医師になりたかった、どうしても看護師になりたかった、という本人の意思?

 

様々な理由はあるでしょうが、大きな一つの因子は「自分が生まれた環境」と思います。医師になりやすい環境とは、

・周りに医師が多い環境に生まれた。(例えば、いわゆる医師家系ですね)

・経済的に裕福な環境に生まれた。(特に私立医学部の学費は高いです)

・教育熱心な家に生まれた。(医学部は偏差値が高い大学が多い)

などなど。

 

医師に対して「先生」とか、「お医者様」といった表現をし、「医師は手が届かない存在」「高嶺の花」といった偏見を持っている家庭に生まれると、逆に将来の選択肢に想起することすらできず、志すチャンスが減るかもしれません。経済的に厳しい環境ですと、医学部を志せるチャンスは減ります。教育環境により医学部の選択の確率が左右されます。このような環境要因が影響することで、医療系に携わりたい、という同じ思いを抱いても、同じような頭脳を持っていても、一方は医師に、一方は看護師になるわけです。

 

では、その「自分が生まれた環境」は、何に左右されるのでしょうか。

 

それは、「運」です。

 

医師家系に生まれることも、経済的に裕福な家庭に生まれることも、教育熱心な家庭に生まれることも、すべて「運」です。自分ではどうすることもできません。

 

偉そうにしている医師と、そんな医師に指図される看護師。病院でよく見かける構図ですが、両者の違いは、単に「運」ということです。

 

勿論、周囲に医師のいない環境に生まれても、経済的に恵まれない環境に生まれても、教育熱心でない環境に生まれても、自分の力で医師になった人もいます。医師に成るチャンスはあったけれど、「看護」に憧れて看護師になった人もいるでしょう。例外は多々あります。あくまでも概論です。単に環境の影響で医師になった、医師になれた、そんな医師も少なからず存在するということです。ていうか、多いと思います。自分もその一人と思います。

 

 

医師が、医療の中心的役割を担っているという面は当然あります。しかし、医師は、「自分が優秀だから医師になれた」「自分の能力が高いから医師になれた」と勘違いしてはいけないと思います。「医師は看護師より能力が高い」と勘違いしてはいけません。たまたま「運」が良かったので、医師になれたのかもしれません。「看護師のくせに」といった上から目線で偉そうな態度をする医師が少なくありません。でも両者を分けたのは「運」なのです。看護師の中にも「医師は偉い、医師は優秀、医師には敵わない、、」という視点を持っている人もいるでしょう。でも両者を分けたのは「運」なのです。

 

インターネットをはじめ、様々な情報が誰でも容易に得られる時代。学習環境も飛躍的に改善してきています。誰でも学べるチャンスが増えています。そんな影響もあるのでしょう。勉強熱心で、優秀な、様々な医療業種の方たちが増えているように感じます。彼らと医師の違いは、ちょっとした「環境」の違い、「運」なのです。「生まれた環境」の上に上積みされた、彼らの軌跡に尊敬の念を感じることが多いです。