おはようございます。布施淳です。

自分は大病院の勤務医です。前回も触れたように、高齢患者が多く受診します。しかし、高齢患者がより衰えたり年老いてくると、病院まで通院することが難しくなってきます。自宅至近の診療所通院に切り替えますが、より衰えてくると、ついには在宅医療に移行し、訪問診療や往診を受けることになる、というケースが増えてきています。

健康寿命とは、日常生活に制限のない期間のことであり、平均寿命と健康寿命の差は「不健康な期間」であり、在宅医療を受ける方は間違いなくこの期間に入っていることになります。

 

平均寿命健康寿命

 

在宅医療の充実は、超高齢化社会のニーズに応えたり、病院機能破綻を防ぐなど、現在のそして将来の社会にとって極めて重要な課題になっています。それだけ、ビジネスチャンスもあるということで、在宅医療専門クリニックやそれに付随する介護サービスに参入する人や組織も増えています。

 

在宅医療はなくてはならないものですし、にもかかわらず自分自身としては全く貢献できていない分野ですので、それに積極的に取り組んでいる方々には感謝の念を抱かざるを得ません。その対象となる患者群は、当然ながら、超高齢者で、寝たきりに近いような人が多いわけです。その高齢者のこれまでの社会貢献に尊敬の念を抱くことは忘れてはいけませんし、またいま現在としても一消費者として社会発展に貢献はしています。しかしながら、かつての社会貢献は過去のものですし、いま現在の消費者としての社会貢献も僅かなものです。在宅医療を要する患者の多くは、現在の日本の経済発展への寄与は大きくない人たちです。そのような患者群を、在宅医療医は日々対応していくわけです。患者や家族に感謝されれば、やりがいも見出せると思いますが、大変な仕事かとも思います。自分も病院で、寝たきりやそれに近いような超高齢患者ばかりに対応することが少なくありません。そのような場合、正直な所、医療に対するモチベーションが下がり気味になることは否めません。それは医療現場としては珍しくない思いであり、若手医師のモチベーション低下も心配して前回の記事も書きました(循環器救急患者の傾向)。病院の高齢者医療の一部、一番辛い部分を切り分けた分野が在宅医療、という表現もできるのではないでしょうか。在宅医療専門クリニックの医師は、超高齢者専門医、非健康寿命対応専門医、という表現もできそうです。

 

ということで、自分の尺度としては、在宅医療って大変辛いのではないかと思うのです、自分ではやっていないので想像ですが。でも多くの医療従事者に在宅医療の場で活躍してもらわなければいけません。在宅医療をやりがいのある場、親しみやすく、楽しい職場、といったイメージを構築することも重要です。その目で見ると、在宅医療のイメージ図は朗らか雰囲気の絵が多いです。国をはじめ、多くの組織が、在宅医療に良きイメージを植え付けようという意図があるのでしょう。Googleで「在宅医療」のイメージ検索してみました。医師も患者も皆朗らかです。実際の現場も互いの尊敬や感謝に満ちた雰囲気なら良いですね。そうあることを願います。

 

在宅医療イメージ

 

 

在宅医療は今の日本、今後の日本において必要なものです。更なる発展が望まれます。世界随一の超高齢化社会日本に置いて、この在宅医療の「システム」をうまく構築すれば、それを今後世界の様々な国で訪れるであろう超高齢化社会に活かすことができるかもしれません。超高齢化在宅医療システムを輸出し、世界に貢献できるかもしれません。医療ビジネスとして日本経済発展に貢献できるかもしれません。

 

一見辛そうに思える在宅医療も、「互いに尊敬と感謝の念に満ちた医師患者関係」を維持しつつ、「世界に先駆ける在宅医療システムの構築と世界貢献」を目指せば、やりがいも出てきそうです。