おはようございます。布施淳です。

街はクリスマス一色ですかね。あまり街に出ていませんのでわかりません笑。

再三触れているように、医療機関を受診する高齢者患者は多いのですが、循環器内科も高齢者が多い科の一つです。平成26年度の年齢別死因の図を見ても、高齢になるにつれ、悪性新生物すなわち癌の割合が減少し、相対的・絶対的に心疾患が増加していきます。

死因年齢別平成26年

 

特に心疾患患者は瀕死の状態で病院に搬送されてくることが少なくありません。循環器医は、その「命を救うこと」が主な仕事の一つになっているわけです。そのように考えると聞こえが良いのですが、切り口を変えた表現をすると、「死にかけた高齢者患者の命を引き延ばす仕事」とも言えます。コミュニケーションも十分に取れないような寝たきりの高齢者や、認知症が著しい方も、病院に搬送されて来れば、救命行為をせざるをえないことが大多数です。

 

一方、中年層の心疾患の患者も勿論搬送されてきます。瀕死の状態で搬送されてきても、それを救命し、結果元気に退院する姿を目の当たりにすると、やりがいのある仕事であることを実感します。しかし、この心疾患に罹患する中年層の患者群も、ある傾向があります。定職に就いていない人や生活保護制度を受けている方、低所得層の方の割合が多い印象を受けます。

 

心疾患の主な原因は動脈硬化やそれを助長する生活習慣の乱れです。塩分過多や偏食、そして身体活動不足なども重なり、高血圧や糖尿病になり、心疾患を発症するプロセスが典型的です。現在はインターネットや書籍、テレビで簡単に健康や病気の情報が入手できます。健康リテラシー向上を心がければ、誰でも容易に情報を入手でき、そして実践できます。大雑把に言うと、社会的地位が高い人や、高所得層、高学歴層といった人たちは情報リテラシーが高く、結果健康リテラシーも向上し、日々の生活の中で健康維持を心がける人の割合が高いのだと思います。一方、低所得層はそのようなリテラシーが低い人の割合が多く、結果、心疾患に罹患して搬送されてくるのです。往々にして、そのような人は、社会貢献の意識や生存欲が低かったりもします。

 

以前、触れたこの本でも、所得と健康・寿命の関連を指摘していました。

 

 

 

結局、循環器医が日々救命している主たる患者群は、超高齢者、低所得層の割合が多いという傾向があるということです。勿論病院により異なるでしょうし、場所によっても大きく異なります。超高齢者でも低所得層でも、それなりの社会貢献はしています(http://junfuse.com/150623/)が、その貢献度は高くありません。高齢者よりも若年者、低所得層より高所得層を救命する方が社会的メリットが大きい、ということは言及しづらいですが概ね事実でしょう。極論は、スティーブジョブスと99歳の寝たきり高齢者、どちらを救命した方がメリットが大きいですか?ということです。

 

命は、お金には変えられない、社会的地位や所得、社会貢献とは関係ないかけがえのないもの。そのような考えは勿論あるのですが、日々、若手医師らが昼夜身を削り、貴重な時間を割いて、医療現場を支えています。そんな彼らの対象患者が、超高齢者や、生きる気力や社会貢献の意識の高くない低所得層の中年の割合が多い。。。。彼らの循環器臨床医としてのモチベーションが保ち続けることができるのか、心配しています。

 

参考:医療と経済的リターン