おはようございます。布施淳です。

昨日話題にしたように、頭部外傷で最も重篤な病態は急性硬膜下血腫です。緊急手術をすることになりますが、手術をしても、脳浮腫(脳がむくむ)が強く、脳の圧力が高くなり(脳圧亢進)、死に至ります。手術をしても死亡率50-75%ほどと高率です。似たような病名に、急性硬膜外血腫とか、慢性硬膜下血腫とか、ややこしいですが、かなり死亡率が異なります。脳の周りの「硬膜」という組織の外側で出血するのか、内側で出血するのか、で異なってくるのです。どれも怖いですが、中でも一番怖いのは、急性硬膜下血腫です。

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(脳神経外科疾患情報ページより)

 

参考:脳神経外科疾患情報ページ

http://square.umin.ac.jp/neuroinf/medical/305.html

 

少し古いデータですが、2006年のスポーツ関連頭部外傷全国アンケート調査では、急性硬膜下血腫を来したスポーツ種目で最多はダントツでスノーボード。発症報告数48件中ほぼ半数の23件がスノーボードで生じました。次いで柔道5件、ラグビー3件と続きます。

スノーボードの危険性は昨日も少しだけ触れました→ http://junfuse.com/151116/。対策は必要ですが、スノーボードは基本的には、やりたい人がやるスポーツ、あるいはレジャーです。やりたくない人はやらずに済みます。ラグビーも、学校の体育の授業で扱うことは極めて稀です。基本、部活です。ラグビーをやりたい奴がラグビー部に入るだけです。やりたくない人は入らなければ良いのです。危ないスポーツと思って、やらなければ、急性硬膜下血腫といった命にも関わる大怪我をする可能性に晒されずに済むのです。スノボやラグビーで怪我をした人は、どんな大怪我であれ、責任の一部は自分にあります。危険を承知でそのスポーツを行うことを選択したからです。まあ、僕は中学から大学まで約12年間ラグビー部でしたが笑。スノボも20代の頃一時ハマって、スキー場に通ったこともありました。ちなみ、鍛えに鍛えたアスリートにおいては、意外と大事故は起こらず、初心者に優位に大事故が起こる傾向があるそうです。

 

スノボ、ラグビーと比べ、柔道はちょっと違います。平成20年に文科省により武道必修化の方針が定められ、中学の保健体育の授業に取り入れられています。その武道の代表が柔道です。重篤な怪我の確率が他スポーツよりも高い種目なんて、確率論的にやりたくない!という人も、強制的にやらされることがあるわけです。やりたくなくても、やらされて、結果、硬膜下血腫を生じてしまうこともあり得るわけです。本人はもちろん、親御さんも抵抗感を感じる人は少なくないでしょう。必修化に見合った、学校の安全対策を徹底してもらいたいものです。慈恵の阿部名誉教授は、柔道中に急性硬膜下血腫を来したケースは、ほぼ全例大外刈りによるものだった、と指摘。初心者の大外刈り禁止令を訴えていました。

ウィキペディアで出ていた大外刈りの図です。この技が危ないそうです。

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(ウィキペディア「大外刈」より)

 

ご自身で柔道をされている方、或いは、お子さんとか、ご自身の周りで柔道をしている方がいたら、具体的にどのような対策が講じられているのか、チェックしてみてください。