おはようございます。布施淳です。

昨日も触れた慈恵医大脳神経外科名誉教授の阿部俊昭先生の脳震盪に関する話で、へー、と思ったことをシェアします。

「脱水」が身体に悪いことは、まあ常識です。熱中症の主病態の1つですし、そうでなくとも、特に高齢者や乳児・小児などは食欲不振から脱水に至りやすく、そのために生命の危機に瀕することも珍しくありません。スポーツ中にも脱水は問題となることが多いですが、典型的にはマラソン選手や駅伝選手。給水所での対応を誤ったりで、脱水状態となりフラフラになってしまう場面を時々目にします。

 

そんな脱水ですが、頭部外傷時の脳障害にも関連があるという話です。

昨日の記事のように、脳の障害は、衝撃と加速度により生じます。直接的な衝撃がなくとも、加速度により脳が揺れることで脳に障害が及びます。

脱水状態ですと、脳においても水分が少ない分、脳の周りのスペースが広くなり、頭蓋骨の中で脳が揺れやすいそうです。したがって、脱水状態で脳に衝撃や加速度がかかると、脳は障害を受けやすくなるのです。

 

脱水で脳が揺れやすい!

 

例えば、ボクサーは試合前には厳しい減量を行うことがよくあります。水分も絞りに絞って、階級規定の体重まで下げたりするわけです。当然、頭部を含め身体は脱水状態です。そんな状態で試合を行い、顔面にパンチを受けると、脳は揺れやすく、ダメージが増幅されうる極めて危険な状態になります。その危険を少しでも回避するために、計量は試合前日に行うようになったそうです。計量クリア後に、水分補給です!

 

頭部外傷で最も重篤な病態は急性硬膜下血腫です。2006年のスポーツ関連頭部外傷全国アンケート調査では、急性硬膜下血腫を来したスポーツ種目で最多はダントツでスノーボード。次いで柔道、ラグビーと続きます。脳振盪もトップはスノーボードです(次いで野球、スキー、サッカー;→競技人口が多いですから)。スノーボードは、両足が固定されている状態で、逆エッジになったりすると、突然勢いよく転倒することが少なくありません。急斜面よりもむしろで緩斜面で激しく後頭部を打ち付け易かったりします。緩斜面は雪面も硬いし。また、ジャンプや回転も大事故につながります。

冬の雪山でスノボやスキーをする時には、寒いですが意外と脱水になりがち。ラグビーや柔道、昨日話題にしたヘディング制限勧告の出たサッカー、、、その他のスポーツの最中も発汗により脱水になりがちです。頭部外傷の際のダメージを最小限にするためにも、スポーツ中の水分補給は大事なんですね。