おはようございます。布施淳です。

 

医療費の問題にもこれまで何度か触れてきました。

 

医療費再分配 http://junfuse.com/141202redistribution/

 

政府の主な役割として、①国民の生活安定 ②所得再分配 ③経済成長促進 が挙げられます。

医療は、①〜③全ての根本を支えるようなものと考えられますが、経済的リターンが得られにくいために、政府が大きく関与し税金を投入しています。

 

医療はともすれば「空気」や「水」のようなもので、あって当たり前、無くなって初めてその大事さに気づく、という感じで、意外と地味な存在感かもしれません。

 

経済成長が鈍化している日本としてみれば、③の強化が望まれ、③への貢献が大きい分野に、より多く投資することが望まれます。上記のように医療ももちろん重要な分野ではありますが、経済的リターンが少ないために、医療費に税金をどんどんつぎ込んでも、経済成長にはあまり効果的ではなく、GDPは上がらないし、財政赤字は膨らむばかりです。医療への過度な投資は、政府として避けたいという気持ちもわかります。

 

医療や福祉の現場には、高齢者が押し寄せ、医療・介護のソフト・ハード面ともに十分な対応ができる状態ではありません。予算を増やしてほしい、、、と現場の皆が強く思うわけですが、現場の「ミクロの視点」のみならず、日本全体を俯瞰的に見る「マクロの視点」で見ると、そうも言っていられないことがわかります。

 

生産年齢層の患者への治療は、そうでない患者への治療よりも経済成長には少しは貢献できます。効果的な治療を施すことで職場復帰ができますから。

同じ年齢層の患者でも、バリバリの勤務者への治療のほうが、生活保護を受けている人への治療よりも経済成長に少しは貢献できます。

人はただ生きているだけで価値がある、存在するだけで価値がある、寝たきりの老人も、生まれたばかりの赤ちゃんも、ニートも、生活保護者も、みな存在するだけで価値がある、のは確かです。消費者ですから。

 

人は、ただ生きているだけで価値がある http://junfuse.com/150623/

 

しかし、公的な医療財源、限られたリソースは、その効果が大きくなる対象になるべく優遇した活用を考えることは、極めて自然な思考プロセスです。

 

 

超高齢者化社会に突入し、超高齢者への積極的医療介入も広がってきています。新たな医療テクノロジーも生まれてきています。

例えば、以前も少し触れたことがある、経カテーテル大動脈弁置換術(TAVI)。治療対象は主に高齢者です。加齢により大動脈弁が硬くなり、解放しずらくなる病気「大動脈弁狭窄症」に対し、胸を切らずに足の付け根などからカテーテルという管を使って治療する方法です。身体的負担が少ない、画期的な治療法です。更なる発展を志していく姿勢は必要ですが、90歳前後の超高齢者たちに1例、500万円以上の医療費を割いて、次々治療していくのはかなり問題があるのではないかと、常々感じています。保険診療ではなく、自由診療で自費にすれば全く問題ありません。

 

大動脈弁狭窄症に罹患する患者は、基本的に圧倒的に高齢者が多いです。若年者が罹患することは、特殊な例を除き、ありませんし、極めて発症率は低いです。TAVIがソフト・ハードともにどんどん発展して、普及していくことは、医療の発展という意味ではもちろん喜ばしいことですし、それを否定するつもりは全くありません。素晴らしいことです。日本ならではの繊細な技術を活かすチャンスでもあります。世界をリードできる分野と思います。しかしならが、将来的にも、主となる治療対象は高齢者であり、その後の経済成長への貢献度が高くない層です。生産年齢層への活用はほとんどないか、あってもごくわずかです。TAVIがいくら発展しても、効果的な経済成長を効果的に促すという可能性は低いと思います。生産年齢層への公的医療費の活用には不利に働いていく状況を加速させる可能性を懸念します。

以前も触れたように、循環器系領域は多くの医療費がつぎ込まれています。この傾向に拍車がかかっていくのでしょう。

 

循環器系疾患の医療費が最多 http://junfuse.com/141225/

 

「医療経済」に関しては素人ですから、ピンとはずれかな記事かもしれません。少しづつ勉強していこうと思います。