こんにちは。布施淳です。

日本には病院が乱立しています。良い例は、東京都の御茶ノ水駅周辺。
順天堂医院、東京医科歯科大学病院、日大駿河台病院、ちょっと離れますが東京大学病院、日本医大病院など、数百から1000床規模の大病院が乱立しています。異常です苦笑。
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ですから、患者の取り合いも熾烈になります。例えばA病院の循環器内科のライバルは、隣のB病院やC病院の循環器内科だったりします。患者の取り合いですから、救急車搬送も取り合いだったりします。A病院の救急医は自分の病院により多くの患者を搬送してもらいたく、救急隊の人に親切にしたりすることも一般的にはよくあることです。
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マーケット感覚を身につけよう
ちきりん  (著)
さて、前回取り上げた、ちきりんさんのこの本を読んでいて、以前拝聴したある外傷専門医の話を思い出しました。
外科医は、手術をやってナンボです。手術を行うことで技術を向上させます。
外傷の原因の代表的なものは交通外傷です。しかし昨今交通事故が減少して、外傷の手術が減ってきたとのことでした。ですから、外傷患者は周辺の他の病院と取り合いになります。
外傷患者が減っていますから、外傷のみでは自分の外科医としての技術が維持できず、外傷以外の通常の手術(癌などの手術)も行い、自分の外科的技術を維持向上させているということのことでした。
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道路交通事故による交通事故
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外傷医のライバル、商売敵は誰でしょう?
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A病院の外傷医のライバル、商売敵は、隣のB病院やC病院の外傷医や救命センターが真っ先に想起されます。あるいは、最近は外科的手術をしなくても血管内治療により出血部位を止血するような技術が発達し、「切る」といった手術を回避できるよになるケースもあります。すなわち、外傷医のライバル、商売敵として血管内治療医が挙げられます。.
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ちきりんさんの本を読んでいると、それだけではないことがわかります。
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自動車メーカーの車両安全対策、シートベルトやエアバッグ、飲酒運転の取り締まり強化や、交通安全運動、公共交通網も発達、様々な交通機関の安全システムも商売敵です。なぜなら、それらにより交通事故が減少し、外傷患者が減るからです。
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日中に病的な眠気を来す睡眠時無呼吸症候群も交通事故の原因になります。この睡眠時無呼吸症候群の治療を担当する医師も商売敵と言えます。
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安全な自動運転が可能になると思われるGoogle Carを開発しているGoogleも、外傷医の商売敵と言えるでしょう。
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様々な情報の電子化やスカイプ会議など、これまで移動が必要であった業務がインターネットを介して可能になったものも多々あります。結果、我々は移動する頻度が減少した、すなわち交通外傷に陥る確率が下がったわけです。その他でもアマゾンなどでのネット購入も増え、買い物による外出頻度は減少しました。ネットバンキングで銀行に出かける頻度も減少しました。急速なIT化、その発展も外傷医の商売敵と言えます。
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外傷が減るのはもちろん喜ばしいことであり、外傷医にとっても、もちろん喜ばしいこと(上に挙げた例は、外傷患者を減少させることに尽力している同志たちですよね。)なのですが、自分の専門医としての技術維持向上という観点からは複雑な思いもあるわけです。外傷医の経験が減ることは、俯瞰的に見れば、我々一般市民にとっても、必ずしも良いことばかりではありません。
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外傷医の出番が少なくなってきたといっても、外傷は交通外傷ばかりではありません。例えばいつ起こるかわからない大地震や津波といった災害の際には多数の外傷患者が発生する可能性があります。我々も、そんな災害にいつ遭遇し、大きな外傷を負うかもしれません。外傷医のお世話になるかもしれません。外傷医の活躍が多いに期待されるわけです。そんな時に備えて、外傷医は日々技術を磨かなければいけません。
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頻度は多くないけれど重要な技術を磨くのに、想起される方法の一つは、度々触れている「シミュレーション」です。
最近は3DプリンターなどIT技術を駆使した医療シミュレーションも進歩著しいです。
例えば、以前少し触れた杉本真樹先生もその分野で活躍しています。
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外傷モデルの手術トレーナーがあれば、ニーズは大きいでしょうね。と思ったら、既に、結構あるんですね。
例えば、、
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より一層の発展で、外傷医の技術向上を期待したいです。
IT技術は、外傷医の商売敵でもあり、強力な味方でもありますね。