こんにちは。布施淳です。

以前も医療のシミュレーション教育について触れました。
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失敗できない状況も、あります。 http://junfuse.com/140829simulation/
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医療でのシミュレーション教育で想起される代表的なものは心肺蘇生術です。いわゆる「心臓マッサージ(正確には胸骨圧迫)」といった類のものです。少なくとも20年以上前から行われていたものと思われます。心肺蘇生術を要する場面は一般的には稀なことであり、実際の臨床現場での経験を多く積む事は難しいです。一方で、患者は(心肺停止ですから)動いたり、反応したりすることが少ないため、マネキンでのトレーニングがやり易い、すなわち、シミュレーション教育向きなわけです。
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そんなシミュレーション教育の有効性が認識され、またその知識や指導技術、シミュレーターの発達などにより、心肺停止の対応以外の分野、医療の多くの面で活用されてきています。
すべての臨床医にとって重要な「救急対応のトレーニング」にもこのシミュレーション教育が導入されてきています。
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「心肺蘇生教育」という軸
心肺蘇生術のトレーニングばかりやっていても顕著には救命率は上がらない、より一層救命率を上げたい。そこで心停止の予防をすべく、「心停止後の心肺蘇生術のトレーニング」から「心停止前の段階での早期対応のトレーニング」にシフトしてきた、という面はあります。
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「シミュレーション教育」という軸
シミュレーション教育が発展し、効果的であるということが認知されてきたために、その適用が増加。その流れで単に救急医療に適用されてきたというだけ、とも考えられます。いままで、On the jobで指導してきたこと、または机上で指導してきたことを、進化してきたシミュレーションというツールを使って指導するようになってきたということです。
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いずれにしても、心肺停止という「稀」な状況ではなく、もっと一般的に頻度の多い臨床状況でのトレーニングに、シミュレーション教育が活用され始めている、ということですから、そのトレーニングを受ける者は、当然増える、いや、激増するわけです。
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当然、激増する学習者に対応するだけの指導者が必要になります。
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シミュレーショントレーニングの指導には、知識・技術が必要です。かつ、その分野の医学的知識や技術、経験も求められます。
一体、そのシミュレーショントレーニングの指導は誰が担っているのでしょうか?。上記の「心肺蘇生教育」という軸が大きく関与してきます。
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古くから心肺蘇生術のシミュレーション教育に携わって、シミュレーション教育に慣れた人が、その経験、技術、知識を活用することにより、心停止前の救急対応のシミュレーション教育を行わざるを得ない状況が多いと感じています。前述のように、教育機会は激増していますから、多忙を極めます。
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シミュレーション教育自体が比較的新しい教育カテゴリーゆえに、既存の教育プログラムに含まれていないことが少なくなく、従って、勤務時間外で行われることが多いのが現状です。休暇を削ってシミュレーション教育に従事しているという、極めて不健康な構図になっているわけです。
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それでは、シミュレーショントレーニングの指導者を育成していく必要があります。様々なところで、シミュレーション指導者講習会が開催されています。その講習会での指導者は誰でしょうか。上記と同様、古くから心肺蘇生術のシミュレーション教育に携わって、シミュレーション教育に慣れた人、、が多かったりします。この指導者講習会も、休日に開催されることが少なくありません。
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通常の医師(あるいは看護師その他)としての臨床業務に加え、週末は、シミュレーショントレーニングや、その指導者講習会に携わります。なおかつ、その報酬はほぼボランティアレベルのことが多い現実。医療の質や患者安全という名目で、多くの医療従事者がボンティア精神で献身しています。いつまで、この不健康な構図が続くのか。歯止めをかける方策が急務かと感じます。
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最近ストレスが溜まっているのでしょうか苦笑。愚痴っぽい記事になってしまいました笑。