おはようございます。布施淳です。
循環器領域の代表的な病気といえば、心筋梗塞や狭心症といった虚血性心疾患が挙げられます。心臓の血管(冠動脈)が動脈硬化により詰まったり、狭くなったりすることで、胸が痛くなったり、苦しくなったり、突然死したりする病気です。
これらに対し盛んに行われている治療が心臓カテーテル治療(PCI)です。バルーン(風船)やステント(金属の網のようなもの)により、血管を広げる治療です。胸の大きく切って、開けるような”手術”をしなくて済む、負担の小さい治療です。素晴らしい医療の進歩、テクノロジーの進歩です。今や、虚血性心疾患の治療の中心的存在です。
CAG
このPCIを行うためには、基本的なカテーテル技術はもちろんですが、病態の理解や、治療の必要性の判断、治療中に起こりうるリスク・合併症、それに対する対処方法、冷静沈着な精神状態、カテーテル室スタッフとのコミュニケーションスキルなど、様々な知識、スキルが必要とされます。わずかな技術的ミスや判断ミスが、患者の命を左右します。患者は正に命をかけてカテーテル台(手術台)に上がっているのです。
この優れた治療法を普及させるために、若手循環器医にも、教育をする必要があります。上記の知識やスキルを有することを概ね確認できた上で、実際の患者に対しPCIをしてもらうことになります。術者としてPCIを行ってもらうことに高いハードルを設けるか、比較的容易にPCIを行わせるか、様々な教育方針・考え方があります。どの方針が優れている、劣っている、という問題ではありません。
自分としては、これまで比較的高いハードルを設けていましたが、PCIを学ぶことに努力をしている人には、最近はそのハードルを少し低くしてきています。その際に感じていることが主に2点あります。
① 爆発的モチベーション向上とその波及
② learning by doingの有用性
PCIを実際に行わせることで、PCIをさらに学ぼうという、爆発的なモチベーションの向上が得られるということです。しかも、本人のみならず、その周囲、同僚や後輩たちにも及びます。集団として、組織としての底上げ現象がみられ、結果として(PCIの)組織としての総力が向上すると感じます。
そして、learning by doingが有用であることも実感しています。かつては、学んでから(learning)→やらせる(doing)というスタンスでした。今は、やりながら学ぶ(learning by doingです。それにより患者に及ぶリスクが若干増える可能性がありますが、そこは指導者の腕の見せ所になります。
若手循環器医のPCIを監視し、ファシリテートし、必要な場合は即時介入する。患者へ及ぶリスクを無視できるくらいの指導者としてのスキルが必要になります。指導者としてのスキルアップも常に心がけていなくてはいけないと感じています。