おはようございます。布施淳です。今日はひな祭りですね!僕には全く無関係ですが笑。
高血圧は、脳卒中や心臓病等様々な病気の原因になります。日本では4000万人以上の高血圧患者がいると推計されています。食事、運動といった生活習慣が治療(予防)の基本ですが、薬物治療に頼らざるを得ない場合も多いです。今では様々な降圧剤が開発され、治療が充実し、脳卒中などの合併症を減らし、日本の平均寿命延長にも大きく貢献してきました。しかし一方で、「降圧剤はなるべく内服したくない」「一度飲み始めたらやめられない」「少しでも薬の量を減らしたい」という意見も根強くあります。
同じ「薬」ではありますが、患者にとって「薬」としての抵抗感が少し薄い傾向がある「漢方薬」。これは高血圧治療の選択肢になるのでしょうか?。高血圧の治療として有効なのでしょうか?。
先日、ある漢方専門医の先生の「高血圧の漢方治療(中医学的治療)」に関しての講演を拝聴する機会がありました。中医学とは中国伝統医学のことです。ざーーーーくり言えば、東洋医学とほぼ同義と捉えても大間違いではないと思います。
結論的に言うと、漢方薬の降圧作用はほぼないか、ごくわずか。少なくとも、西洋医学の降圧剤には全くかなわないようです。
降圧作用を証明した、質の高い臨床研究はほぼ存在しません。ケースレポート程度のもののみです。今回の講演でも、症例提示に止まりました。もちろん、標準的な高血圧治療ガイドラインにも漢方薬の記載はありません。
今回拝聴した講演も含め、漢方薬は、高血圧の随伴症状(めまい、耳鳴り、不眠など)への対応が中心となる、との主張がありますが、自分としては、その表現にも少し懐疑的です。基本的に、高血圧はほぼ無症状です。高血圧治療ガイドライン2014にも「一般に高血圧だけでは特異的な症状を伴わないのが普通である。」との記載があります。
ただ、いずれにせよ、高血圧に並存している症状・徴候に対し、中医学的診察(実証、虚証、 舌診、脈診、、、、、)を施し、相応しい漢方薬を選択します。
顔面が紅潮し、イライラして、怒りっぽかったりすると、例えば竜胆瀉肝湯や柴胡加竜骨牡蛎湯を使ったりします。不眠、めまい、手足の冷えを呈しているような場合、八味地黄丸を使ったりします。これらにより、降圧できる場合があります。
血圧値に応じ、通常の降圧剤を併用することもありますが、その量を減らすことができたり、経過中に中止したりできたりすることもあるとのことです。
このように、今回の講演者の経験も含め、その他世に出回っている漢方薬に関する書籍等の高血圧治療に関する記載によると、漢方薬により降圧できたという記載をよく見かけます。
先ほど書いたように、漢方薬の降圧作用はほぼありません。では、なぜ、血圧が下がるのでしょうか。
自分なりの理解ですと、高血圧と「随伴症状」の関係に鍵があるように思います。
高血圧→随伴症状→漢方薬→高血圧軽減→随伴症状改善 
ではなくて、
なんらかのストレス→症状→血圧上昇→漢方薬→ストレス軽減→症状軽減→血圧上昇軽減
と思いました。
血圧を高くしている大元の病態(ストレス)にアプローチし、それを軽減・改善させることで、二次的に生じていた血圧上昇を緩和させるという感じと理解しました。
直接の降圧作用はなくても、これはこれで、重要なアプローチと感じました。血圧計の「数値」のみに注目してしまい、肝心の患者自身の観察が不十分になってしまう西洋医学の医師も少なくありません。特に多忙な業務の中においては、自分も気をつけなければいけません。全身を俯瞰的に診る習慣を常に忘れてはいけないことを再確認いたしました。
そもそも、「中医学においては血圧という概念がない」というのは、言われてみれば当然なのですが、目からウロコでした。