おはようございます。布施淳です。

前回の記事を含め、これまでも度々「死」」に触れました。
例えば、
「会えるのは今日が最後」の意識 http://junfuse.com/141204lastday/
自分の望む最期を考え、意思表示しよう http://junfuse.com/141226/

外来で患者と「死」について話すことが最近良くあります。

趣旨は、
「人は100%死にます。僕もあなたも、ご家族も、みんな死にます。ですから、どのような死を迎えたいか、今のうちによく考えておきましょう。ご家族皆でよく相談してみてください」
ということです。
「死」というものが、自分たちとは無関係という意識で、全く考えていない人が少なくないからです。
「なんとなく」考えていますが、「具体的」な対応を考えていない人が多いからです。
どう対応するか、どう備えるかは、本人次第です。まずは、考えて、方向性を定めることが重要と思っています。
循環器内科の外来は高齢の方が大変多いです。70歳、80歳はもちろん、90歳も珍しくありません。
心臓の病状が安定している方でも、心臓以外の各臓器も各々老化や劣化が進んでいるわけです。心臓が良くても、癌になるかもしれません、肺炎になるかもしれません、脳卒中になるかもしれません。
70代の方には、
厚生労働省の健康日本21に出ている生存曲線の、70歳過ぎると急峻な低下傾向を呈する部分を示しつつ
「70歳を超えると、人はどんどん死んでいきます」
「あなたも、いまこの崖を転がり落ちるような下り坂の途中にいます。いつ亡くなるかわかりません」
という感じでお話しします。
女性生存曲線健康日本21
日本の平均寿命は2013年のデータでは、男性80.2歳、女性86.6歳です。http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/life/life13/
この近辺の80代の方には、
「もう平均寿命の年齢ですよね。ごく単純に言うと、同年代はもう半分死んでいるんですよね。死はそのくらい身近なものです。」
という感じでいうことが多いです。
90歳になると、もはやこちらから言わなくても、ご自身なりに覚悟できている方が多いです。むしろ、本人よりも、家族に「死への心構え」を確認しておいたほうがよいことが多い印象です。家族は、まるで100歳、110歳、120歳までこのまま生き続けるのが普通であり、そして、いつまでも、独歩で、自立した生活が可能かと思っているかのような言動があったりします。そうではない現実を認識させ、具体的な対策を講じていくことを促すことが重要と思っています。
外来で「死」の話しをすると、驚いたような表情をする方、表情は「苦笑い」でも動揺している方、普通に受け止める方、様々です。場合によっては、怒り出したりする人もいるかもしれません。僕はまだ経験はありません。
大事なことは、患者と目線を揃えて、本当に親身に患者を想う姿勢を保つことだと思います。残りの人生をより良く過ごすために、一緒に考えましょう、当方としてできることは最大限協力してサポートします、ということ。プレゼンテーションのポイントの、「共感」「ストーリー」感が、ここでもポイントになるかもしれません。
【参考】
患者を動かすインセンティブ・プレゼンテーション http://junfuse.com/140805incentivepresentation/
モダンカンポウhttp://junfuse.com/150206/の新見正則先生の外来トーク本。一言で言うと、「気さくなおじさん」笑。
じゃあ、死にますか?―リラックス外来トーク術
Z
リラックスして、患者と目線を揃えて、共感しよう、というコンセプトで、自分のスタイルと共通点が多々あり、”共感”できます笑。
前書きで大学の教授先生が「この本は「テクニック集」ではあるが、患者さんに対する愛情をもってこのようなテクニックを駆使しないと、時に問題になる」と書いています。薄っぺらに表面だけの関係だと、誤解が生じることもあるでしょう。外来診療においても、医師患者関係というより、人と人とのコミュニケーションです。信頼関係、「共感」があってこそ「じゃあ、死にますか?」という表現もありなのです。
自分も、薄っぺらな関係にならないように、さらなる気遣いを心がけようと思います。特に、混雑した多忙な外来の時は、油断できません苦笑。