おはようございます。布施淳です。

 

特に、悩みもない、平穏な暮らしをしているご高齢の方。街で占い師に、ふと呼び止められました。

「私は占い師です。占ってあげましょう。」

「おお、これは悪い兆しかもしれません。このお札を買うと良いでしょう。1300円です。それでは、1週間後また拝見します。」

ご高齢の方はお札を購入して帰りました。そして、1週間後再度訪れました。

「むむ、新たな 悪い兆しが出ていますね。この掛け軸と壺を買うと良いでしょう。13000円と4万円です。1週間後また拝見します。」

ご高齢の方は掛け軸と壺を購入して帰りました。そして、1週間後再度訪れました。

「わわ、また新たに悪い兆しが、、、。我々の道場で二泊三日のお祓いをすると良いでしょう。100万円です。」

ご高齢の方は道場を訪れ、二泊三日のお祓いをしました。

ご高齢の方は、なんとなく、すっきりしたような気がしました。

 

 

 

特に、症状もなく、元気に暮らしをしているご高齢の方。健康診断の知らせが来たので受診しました。

「私は医師です。検診してあげましょう。」

「おお、心電図にあやしい所見、悪い兆しかもしれません。ホルター心電図という検査をすると良いでしょう。15000円です。それでは、1週間後また拝見します。」

ご高齢の方はホルター心電図を受けました。そして、1週間後再度訪れました。

「むむ、ホルター心電図で正常と異常の境界のような、あやしい兆しが出ていますね。心臓超音波検査と冠動脈CTを受けると良いでしょう。13000円と4万円です。1週間後また拝見します。」

ご高齢の方は心臓超音波検査と冠動脈CTを受けました。そして、1週間後再度訪れました。

「わわ、また正常と異常の境界、あやしい所見が、、、。専門施設で二泊三日の入院の上、心臓カテーテル検査でよく調べて、必要に応じ治療をすると良いでしょう。200万円ほどです。」

ご高齢の方は二泊三日の入院で心臓カテーテル検査を受け、「少しだけ細く見える」血管にカテーテル治療、冠動脈ステントを留置しました。

ご高齢の方は、なんとなく、すっきりしたような気がしました。

 

 

 

この話はフィクションですが、これにかなり類似したケースが少なくありません。多くの場合医師に悪意があるわけではありません。むしろ善意での行動であることもあります。しかし、適切な検査選択、適切な検査結果の解釈を施さないと、次々と新たな検査が必要になり、最悪、必要性の高くない治療が施されてしまうという負のスパイラルに陥ることがあります。(明らかに異常な検査所見、ハイリスク所見でしたら、当然さらなる精査に進むことが推奨されます。異常とも正常とも言い切れない「微妙」な所見の場合に、判断が難しくなります。)

患者にとってお金と時間を投資した割に、健康上のメリットは乏しいのです。それでも、患者側も良いことをされたような気分になったりします。ほぼプラセボ効果です。そして医師にとっても労力と時間を提供した割に、その効果は乏しいのです。全く無駄の場合もありますし、効果はあってもとても僅かにとどまる場合もあります。それでも、医師側も良いことをした気分になっていたりします。

ちなみに、上記の値段は10割負担の値段です。通常3割負担ですから、7割は保険や税金です。さらに、自己負担限度額を超えると高額療養費の補助制度があります。全て保険・税金です。

医師は、検査結果だけを、機械的に判断するのではなく、よーく患者の話を聞くこと、患者は、医師の言うことを鵜呑みにせず、双方がよく相談し、方針を模索する姿勢が、負のスパイラルを避ける道でしょう。