おはようございます。布施淳です。
先日の外来での話。糖尿病の患者。採血の数値が改善傾向でした。ご本人曰く「奥さんが食べさせてくれなくてね。奥さんが本を買ってきて、HbA1cとか、検査値の意味を調べたり、食事療法を勉強したりしてくれて。厳しく指導されています。食べたい時は、外で食べます苦笑」
人は1人では弱いものです。人の意思は脆いものです。
独学よりもコミュニティーラーニングの方が、学習効果が高いです。
病気への取り組みも例外ではないでしょう。1人暮らしの人が、食事療法や生活習慣を是正し、それを継続することはかなり難しいことです。仲間や、サポートしてくれる人が近くにいるほど、取り組みやすく、そして継続しやすくなります。その典型的な例が「結婚」です。
前回取り上げた本でも「結婚」のメリットについての記載があります。
一言で言うと、男性に関しては「結婚している人の方が長生きする」ということです。
これは、世界中の、多くの疫学的な調査で示されている結論です。上記本でも取り上げられている日本のデータでも同様の傾向がみられます。→ 国立社会保障 ・人口問題研究所
古い1995年のデータですが、男性が40歳の時点での平均余命は、
未婚30.42年
既婚39.06年
でした。
19歳から44歳の年齢層でみると、未婚の男性の死亡率は、既婚男性の約2倍とのデータもあるそうです。ちなみに、年齢が上がると、この倍率は小さくなる傾向があります。いわゆる結婚適齢期での結婚が、その後の寿命に少なからず影響するということです。
未婚男性は、事故や自殺などの外因死が既婚男性の2.4倍です。不注意なこと、また、孤独感からの自殺などが影響していると推測されます。
一方、心臓血管系の病気による死亡(心筋梗塞など)も既婚男性の2.4倍です。妻が、栄養管理を始め生活習慣是正に介入することで病気を未然に防いだり、適切な治療を促したりすることが功を奏すのでしょう。上記の患者は典型的なケースと解釈できますね。
救急医療の現場でも、かなり重病でも、病院嫌いで受診せず我慢していたけれど、でも妻や家族に促され、ようやく渋々来院する男性患者は結構多いです。
未婚・既婚の寿命問題は、元々の性格や社会背景、健康状態など、結果として未婚になりやすい要素が、寿命に関連しているという可能性も十分考慮しなければいけませんが、いずれにしても、男性が長寿を望むのであれば、「結婚」したほうが良いようです。