ベンゾジアゼピン系薬剤というカテゴリーの薬があります。日本でも良く使用されている睡眠薬や抗不安薬です。
先進国では、不眠や不安を訴える方は多く、特に高齢者では7-43%の頻度で使用されているそうです。
自分の外来でも、患者さんに不眠を訴える方は多く、このカテゴリーの薬剤を処方することは少なくありません。
一方で、そのベンゾジアゼピン系薬剤がその後の認知症発症に関連しているということは、これまでも報告されてきました。
例えば、
Am J Geriatr Psychiatry 2009;17:614-20.
Am J Geriatr Psychiatry 2011;19:151-9.
J Clin Epidemiol 2002;55:314-8.
J Epidemiol Community Health 2012;66:869-73.
BMJ 2012;345:e6231.
そして、最近も同様の報告がされています。
Benzodiazepine use and risk of Alzheimer’s disease: case-control study
BMJ 2014;349:g5205 doi: 10.1136/bmj.g5205 (Published 9 September 2014)
カナダのあるデータベースを利用したケースコントロール研究です。
66歳以上のアルツハイマー型認知症と診断された1796人と、条件をマッチさせた対照(認知症ではない)7184人を比較しています( >66歳)。少なくとも6年以上のフォロー期間を設定しています。
BMJ dementia
結論的には、
ベンゾジアゼピン系薬剤の使用しているとアルツハイマー型認知症が43-51%増加しました。
長期に使用するほど認知症が増加しました。
91-180日の使用だと、28-32%増加、180日以上の使用だと、74-84%増加しました。
半減期が長い薬ほど認知症が増加しました。
短時間作用型(半減期<20時間)だと、37-43%増加、長時間作用型(半減期>20時間)だと、59-70%増加しました。
半減期20時間以上の処方は、例えば、レキソタン、コントーン、バランス、マイスタン、セルシン、ホリゾン、ベンザリン、ネルボン、ダルメート、リボトリール
半減期20時間未満の薬剤は、例えば、ソラナックス、コンスタン、ワイパックス、ドルミカム、ハルシオン
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(厚生労働省HP)
先日も示した上記グラフのように、日本でも2020年には65歳以上の10%近くが認知症になることが推測されています。恐ろしい事態です。
少しでも軽減する手立てを講じなくてはいけません。睡眠薬や抗不安薬の安易な処方も再検討の余地があります。僕自身も、容易に処方してしまうことがありますので、反省しなくてはいけません。
睡眠薬 ・抗不安薬の処方を最低限にするには、医師は不眠や不安の原因を良く聞いて、根本的な改善を目指すことが必要です。患者本人も、自己分析が必要で、医師患者の話し合いが効果的でしょう。
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