おはようございます!あいさつは先制攻撃!布施淳です。

 

最近、身近に膵臓癌(膵癌)を患う方が複数いました。

膵癌は、癌の中でも、早期発見が難しく、ゆえに、治療も難しい癌です。

 
膵癌になり易い因子(危険因子)は、喫煙、糖尿病、肥満、慢性膵炎、家族が膵癌、等が挙げられます。
日本膵臓学会のこのサイトに、詳しくでています。

http://www.suizou.org/PCMG2009/cq1/cq1-1.html

 

一方で、一般的な書籍などで、「果物を食べると膵癌になり易い」ということを耳にすることがあります。果物好きの自分としては、ドキッとする事項です。アップルのスティーブ・ジョブズは厳格な菜食主義者で、果物を多く食べていたために膵癌になった、ということが例に挙げられることが多いです。

 
例えばこの本にもその旨の記載があります。

老けない人はやめている オーガスト・ハーゲスハイマー (著)
http://www.amazon.co.jp/dp/406299786X

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本当なのでしょうか。果物好きの自分としては気になります苦笑

 
その根拠となっている論文が主に、これのようです。

 
Dietary glycemic load, added sugars, and carbohydrates as risk factors for pancreatic cancer: the Multiethnic Cohort Study
Am J Clin Nutr November 2007 86: 1495-1501
http://ajcn.nutrition.org/content/86/5/1495.abstract
 

たしかに、

 
” We found some evidence for a greater pancreatic cancer risk with a high intake of fruit and juices ”

 
と結んでいます。

 
果物と癌、膵癌の関連について、医療情報サイト「UpToDate」を見てみました。
( Up To Date:cancer prevention)
( Up To Date:Epidemiology and risk factors for exocrine pancreatic cancer

癌全般に関して、ケースコントロールスタディーという研究の質があまり高くはない研究においては、果物摂取で癌を予防できるというデータもありますが、より質の高い研究においては、果物の癌予防効果は明確ではありません。効果があっても、その程度は僅かです。しかしながら、少なくとも果物摂取が癌を増やすというデータは見かけません。

参考文献

Cancer Epidemiol Biomarkers Prev. 2008;17(2):387.
Am J Epidemiol. 2008;167(1):59.
J Natl Cancer Inst. 2004;96(21):1577.
Am J Clin Nutr. 2009;89(1):347.
J Natl Cancer Inst. 2010;102(8):529.
( Up To Date:cancer prevention)

 

膵臓がんに関しても、同様に、果物や野菜により膵癌予防になるという報告は複数ありますが、多くはケースコントロールスタディー(質があまり高くない)のようです。

Am J Epidemiol. 1986;124(6):894.
Int J Cancer. 1990;45(4):604.
Cancer. 1985;55(2):460.

より質の高い研究においては、果物の膵臓癌予防効果は明確ではありませんでした(Cancer Causes Control. 2000;11(10):915.)。

 

しかしながら、少なくとも果物摂取が膵癌を増やすというデータは見かけません。

( Up To Date:Epidemiology and risk factors for exocrine pancreatic cancer
 

 
結局、まとめますと、

果物を食べることで膵癌発症の確率が上がるというデータは、ごく僅か。むしろ予防になるという報告も複数あり、少なくとも、増加させることはない、という研究が主と言えます。

 
一方で、先の日本膵臓学会のこのサイト等にも記載されているように、糖尿病や肥満が膵癌を増加させるということは明らかです。

 
併せて考えると、

 

果物摂取→果糖過剰摂取→肥満→糖尿病 

 

このプロセスを踏むと、膵癌になり易い、ということなのでしょう。

 

 

 

果物摂取=膵癌増加

 
と短絡的に考えると誤解を招きそうです。

 

程度と質を調整し、肥満や糖尿病に陥らなければ、果物摂取は膵癌になり易いという理屈にはならないように感じました。

 
何事も、「ほどほど」がよろしいようです。